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寄せはるあき

 ブームなんていうのは百害あってナンとやらという言葉があるかどうか存じ上げませんが、どうも最近は演芸に関する古い書籍の緊急文庫化が目立っているようです。筑摩書房、河出書房あたりが音頭を取っているようなこの動きに、僕を含めてごくわずかな演芸ファンは拍手を送っているはずでありまして、昨今のお笑いブームとやらも、ここだけではもっと続くように祈るばかりであります。
 今月は河出書房から安藤鶴夫の最晩年の随筆集、「寄席はるあき」の文庫版が刊行されました。「巷談 本牧亭」(ちくま文庫版)、「歳月 安藤鶴夫随筆集」(講談社文芸文庫)を読んだばかりのことでしたので、ついに安藤鶴夫の著作にまで演芸ブームの余波がと驚いてしまいました。何たって、この「寄席はるあき」が初めて世に出たのは昭和43年、40年近く前のものなのだからであります。
 そうでした、この本、文章は安藤鶴夫名義ですが、百数点の写真は金子桂三さんのものであり、両者の名義になっているのでありました。なるほど、この写真を見るだけでも「寄席はるあき」を復刻された意味があるというもの、もっともっと金子さんには所蔵のお写真を放出願うばかりで……と、ここはお願い。
 文庫も高くなったもので、講談社文芸文庫の「歳月」は税別1,100円、今月の「寄席はるあき」は880円であります。割高で有名なちくま文庫の「巷談 本牧亭」が12年前の版で700円ですから、もし「寄席はるあき」がちくま文庫から出ていたら……なんて身を震わせてしまったのです。
 解説で高田文夫さんが書かれているように「いまだにアンツルの悪口を言う人を私はたくさん知っている」というくらい、恨まれる方からは徹底的に憎まれたアンツル先生、当時としては辛辣と言われていたのであろう筆致で演芸のことを語っていると思って読んでみると、どうも僕には60年代の東京批判、いや旧東京市以外の風俗、人間を扱き下ろしているようにも読めました。まぁ、それはそれで今の時代にも充分に通じるような悪口でありまして、アンツル先生の爪の垢でも煎じて飲むくらいが、「甘口人間」の僕にはちょうどいいくらいなのかもしれません。
 現代にも通ずるといえば、「寄席はるあき」から「笑い」に関する部分をちょっと。

 「このごろの、ほかの笑いの芸のように、脇の下をくすぐられて笑うような、そんな笑いではなくって、まともに、人間性をとらえた嘘のない笑いが、寄席には、多いようです。つまり、洗練された笑いといってもいいかも知れません。しかし、今の寄席の客の笑いは、果たして、ほんとうの笑いでしょうか。
 (中略)
 ただしい笑いが笑えるということが、じつは、その国の、文化というものの、尺度ではなかろうかとさえ思っています。はっきりいって、日本というわたしたちの国は、ごくもうつまらないことに笑い過ぎて、ほんとうは、そこで笑わなくッちゃいけないところでは、けろりとして笑わないことが多すぎるようです」

 これ、2番目の「寄席」の部分をテレビに換えればあら不思議、この21世紀にも言えることなのではないでしょうか。「何を見て、どこで笑うかがその国の文化の尺度である」なんていうのは小林信彦翁も常日頃から書かれていらっしゃることであり、いつの時代にもこういうことを仰る御大がいなきゃ締まらないなんて皆さんが思っているんじゃないかと、裏読みしてしまったのであります。
 安藤鶴夫の著作物までが復刊されたことに僕が驚いたのは、周期的に起こった笑いのブームが、かつてのこうした演芸、芸人に関するものまでどんどんと掘り起こしてきたこと、その中で安藤鶴夫なんていうのは、笑いのブームなどとは全く正反対の位置に座っていた人間なんじゃないかと考えたからであるわけです。寝ていた子を起こしちゃった、みたいな。
 さ、これを記しているのは既に1月15日の日曜未明、テレビ神奈川の「落語天女 おゆい」を見なきゃならないので今日はここまで。
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  1. 2006/01/12(木) 00:00:00|
  2. 2006
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